弥山麓の谷あい、紅葉谷川に沿って広がる公園。江戸時代に開拓されモミジの苗木が植えられたのが始まりといわれ、この時代の文献には「清き流れあり、樹木蒼古にて一区の幽境なり、楓樹多きを以って名とす」と紹介されています。厳島八景の一つ「谷原麋鹿」は、紅葉谷東の「谷ヶ原」を指します。昭和20年(1945年)の枕崎台風で一帯は土石流に飲み込まれましたが、その後昭和23年(1948年)から2年間、8000万円の巨費を投じて災害復旧工事が行われ、今日に見られる砂防庭園が完成しました。 作庭は地元広島の庭園師が手がけ、石材は現地にあるものを傷つけず自然の形のまま使用。樹木は切らない、コンクリートの面は眼にふれないよう野面石で包むなど、安全性はもちろん自然環境に配慮した美しい庭園です。春は桜、夏は新緑、秋は紅葉と季節ごとに変わりゆく自然を満喫できるのが魅力。とりわけ約200本のモミジが一斉に色づく秋の彩りは圧巻です。
宮島水族館からさらに奥へ進むと、入り口に大元神社のある静かな大元公園があります。海岸線の近くにモミの大木が生育する世界でも珍しい場所で、潮の匂いと森の香りが混ざり合っています。入り口付近にある「牛石(うしいし)」は宮島の名石の一つ。形が牛に似ているところから、こう呼ばれているとのこと。現在では海岸から離れていますが、満潮時には海水が満ち、牛石は水の中に浸かってしまいます。また厳島合戦の際、陶晴賢の軍勢が上陸したのが、この大元浦。一帯は厳島合戦の古戦場で、山手には合戦ののち死者の流血が数年間続いたと伝えられる「血仏池」や供養塔も。この大元公園は古くからの桜の名所で、その美しさから厳島八景にも数えられます。